scent
TALK TO ME × neutral
2021年10月28日・29日
会場 archipelago(兵庫県丹波篠山市)

もしかすると​

これはもう

本当の夢かもしれない

​夢から醒めた明け方の夢

neutral   北嶋竜樹

77BAB9DD-EBB8-4CD8-9658-874C9DE501FF.jpeg
24406D6A-0508-4B10-9F3C-0F5838F368C7.jpeg

01  うたかた

ありきたりのものだと思っていたものが

豊かな暮らしを支えていて

気付かぬままにそれは

突然消えてなくなるのです

日常とは、香りとは、そういうものなのです

0C4B36AE-5F7C-4B07-BB58-3E3FBF6504C8.jpeg

03  世界

切り取られた世界の中にも

その内側にはまた景色が広がっていて

意識をしないと気づかない

微細な情景がぎゅっと詰まっているのです

 

9A48DDB8-F2BF-44C8-99BD-E129910C28E9.jpeg

05  包む

鼻をつまむと味がしません

嗅覚と味覚は連動しているからです

咀嚼し口腔内ではじめて香るものもあります

世の中は一見するとわからないことだらけです

4E281BDE-D553-4FE2-9CDB-8D7421238E8C.jpeg

07  選ぶ

あなたがここに来たこともそう

何気なく手に取ったそれにも

ちゃんと歴史や意味があって

お洋服を選ぶように選んだそれが

あなたの気分をほんの少しでも

盛り上げられたらいいなと

わたしは思っています

​※ 解説は下記に記載しています

45C64793-B32F-4ED2-A31C-C12340B32BCC.jpeg

丹波霧インスタレーションより

茶席には露は付き物です。席中の唯一の自然である花には露を打ち、みずみずしさと共に生命を吹き込み、敬意を表するのがならいとされています。乾ききったものを嫌う茶趣において茶の湯では路地の露、掛け物の露、茶杓の露など、露を打つことはとても重要視されています。日本料理でも茶筅をひと振りし腕ぶたに水滴を散らすことがあります。これも露打ちです。この作品では食事中の皆様に露を打ちました。僅かに触れる露の質感、篠山で摘んだ枝葉を芳香蒸留水にし、まるで篠山の森の中にいるかのような感覚で、触覚や視覚、嗅覚とともに、ひとつの食から立体的に広がる体験をしていただきました。

Photo by 八木夕菜

4BF4ACE5-3C8E-4579-80B3-7416C877D051.jpeg

02  曖昧な記憶

人はしばしば想像から実際のものを

描くことがあります。それは知覚と感覚が

交錯し混乱、錯覚をしているそうです

それをそれと認知することは

実はとても曖昧なことです

298CA8CB-6F2B-4E24-9FD5-75E390B54C08.jpeg

04  篠山のこと

篠山は笹山であり、サ神様と重ねた神聖な

場所です。生と死、内と外を区切る守護神に

よって守られたこの土地に

見えない思いをなぞらえてみました

​※サ神についての解説は下記に記載しています

0FA42B61-3C4E-47A1-AC00-293929F8D90B.jpeg

06  あてなるもの

枕草子の一節です。ものにしろ、ことにしろ、言葉の出会いひとつをとっても、

どこでどう出会うかでその人に与える影響は大きく変わってきます

彼女はこの歌を川端康成のエッセイの中で見つけます

奔放で自由を愛した川端康成が生涯をかけて、追いかけたのは日本の美でした。

彼のフィルターを通した、ものや、ことや、言葉たちは、本来のそれとは違った透明な光のようなものを纏います。そして同じように、この言葉に触れた彼女から作り出されるものもまた調和がもたらすキラキラと輝く透き通ったものなのでした

33B4416C-0E20-4E4A-9727-1BB6BDAC1223.jpeg

08  丹波霧

この露打ちは丹波霧であり

篠山の香りであり

儚く消えるあり様は

彼女の作品を纏っている

柔らかい光でもあるのです

62577B41-2969-40AA-871B-5D9CBAEE60E0.jpeg
0CC31B8C-E9D1-4DA9-ACEA-7FEC4117B07B.jpeg

※1 サ神 解説

古語では「さ」とは耕作を意味します。「さ」とは山の神であり、春になると里に降りてきて田の神・稲霊となります。それゆえに桜とは、「さ」の神が降りる坐=鞍(くら)の意から「さ・くら」となり、稲の苗が早苗=さ・なえなのも、苗を植える女性が早乙女=さ・おとめなのも、田の神・稲霊=「サ神」から来ています。旧暦五月の頃は稲作にいそしむ月であるから「サ月」と名づけられました。篠山の名前の由来には、笹がたくさん生い茂っていた笹山に城を築いたことと、神聖な意味を持つこのサ神信仰が深く関係していると言われています。この作品では、名前の由来にもなっている笹の葉で、おむすびを包んで蒸しました。おむすびは、右手(身ミ・物質のこと)と左手(霊ヒ・霊的なもの)を結んで作ります。また米(天照大神)、水(月読命)、塩(素戔嗚)は、それぞれ三騎士が司る最も重要なもので、それらの霊力を人の手によって結んだとても神聖な食べ物です。シンプルな食べ物ですが、そこには計り知れないドラマや深い意味があり、それらを彼女のものづくりの姿勢と重ね合わせて作りました。またお米は、ひとつ前の作品でお出しした、篠山で採れた食材達の端材からとった出汁で炊いています。そのことでひとつづつの作品に繋がり(関係性)を持たせました。

※2 選ぶ 解説

世界中の様々な生地を集める生地コレクターでもある、デザイナー池邊祥子さんのコレクションの中から選んだ生地に紐付けたカクテルドリンクを、最後に召し上がっていただきました。このドリンクは生地から選びます。どんな素材を使って作られたどんな味の飲み物かは、生地には記載されていません。直感を大切にし選んだ生地が、その日を表す飲み物であればという思いで制作しました。「選ぶ」という行為が、あらゆる場面でその人の人生に大きく関わっているということを表しています。