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​水簸
gafu ito × neutral
2021年12月18日・19日
会場 tonoto(京都市北区鷹峯)
水簸

水簸(すいひ)とはきめの細かい粘土を集める精製方法のひとつ。粗い粒子が微細な粒子よりも速く沈降する原理を利用し、原土に含まれる不純物を沈殿させ、上澄みの粘土分と分離させて作ります。常滑急須で使われる朱泥土は、田土と赤土を水の入った大甕に入れ、さらに水を加えてかき混ぜ、何度も水濾しして作ります。この作業は数ヶ月にも及び、急須作りにおいて重要な素材である粘土の精製だけに1年の大部分を費やします。このようにして作られた粘土は粘りがあり、きめが細かく、成形し易いことから急須作りには適した粘土とされてきました。

自然の土に含まれる鉄分のみで焼成後に赤く発色し、水簸によって粒子が細かくなった粘土は土の表面が多孔質になり、その仕上がりは味にも影響するほどと言われています。現代の朱泥はこのような作り方はせず、ミルで粉砕したり、弁柄という鉄の粉を混ぜて作ることがほとんどです。このように水簸して作られた土は「本朱泥」と呼ばれ、彼はこの天然の朱泥を使った数少ない作り手のひとりです。そして水簸は彼の作品つくりにおいてなくてはならない工程のひとつといえ、ストイックなまでにこの原始的で古典的な技法を貫くことで生まれる作品は時代を超え、現代に新たな常滑急須の魅力を蘇らせてくれます。

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01  はじまりの土

私はこの水簸から彼の作品つくりにおける重なりを見ました

原土を見て、作品を見ると到底その間を想像できません

そこにはいくつも重なりが連なっているのです

そしてその重なりでしか進化できないことを思い知るのです

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02  不完全なもの

 

重なりや連なりの中での過程は

果たして不完全なものなのだろうか

完全な作品というものもなければ

完全な土というものもないのです

それは同時に不完全な作品も、

不完全な土もないということでもあります

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03  土の上

物語というものは決してそのものだけで語られるものではありません

そこには描かれていないサイドストーリーはどこにだって必ずあります

04  重なりと連なり

原土から水簸を重ね純度の高い粘土を作るように

土から生まれた生命が透明なレイヤーとなって連なり

清らかなものへと変化していきます

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05  自然

そのままであることが自然とは限りません

より自然を感じるために形を変えることだってあります

柔らかく滑らかな視点はとても大事です

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00  花

私の制作において、花はなくてはならない重要なもののひとつです。花人ではない私が花を生けることで、食と自然(外界)の接点を近づけ、ひとつのインターフェイスとして存在します。作品はテーブルに運ばれてくる器の中だけの世界ではなく、生けられた山野草により外側と内側が表裏一体であることを空間の中に描きます。

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00  雪化粧

直接見たり触れたりすることだけが体験ではないのです。私だけが見たこの前日の風景さえも参加者のひとつの体験として記憶されるのです。たとえ見えなかったとしてもそれはそういうものなのです。

00  山茱萸

私の作品は作り手である私と体験者の中間に位置し、そのきっかけを与える装置としての役割がとても重要なものとして存在しています。

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