脈絡のない料理 vol.10
2023年5月18日 〜 5月30日
会場 neutral(京都市北区)
人生って脈絡のない出来事の
連続だと思うんです
それが何であるかは
実はそんなに重要なことではなくて
その繰り返しや重なりが必要だから
僕らは延々と脈絡のないことを
繰り返すのです
neutral 北嶋竜樹
01 透明な気持ち
真っ白で無垢な光のように
君が笑うとね
霧が霞んで
前が見えなくなっても
そのひとつひとつが
雨粒みたいに大きくなるんだ
言葉にならない思いも
空気を吸い込むような毎日も
ほんとうはね
見えない向こう側には
見たかった景色があるんだよ
溜漆菓子皿:江戸時代
02 お供えもの
ころころしたりさ
くるくるしたりさ
ばらばらだった筈の
ちっちゃな粒子がくっついて
ひとつになっていく
手を取り合って
やさしく調和する
神様だって喜んでる
ぼくにはわかる
だからとっておきの一番を
君にあげちゃうよ
李朝木工高杯台皿:18世紀
03 すれちがい
あなたはいつだって
とぼけた顔で
きづかないふりをして
わたしを惑わすの
なんてずるいのかしら
きみはいつだって
かわいい顔をして
天使のように微笑みかけては
ぼくを惑わすのさ
ほんとにずるい子だよ
白磁汲出椀:黒田泰蔵
04 それは人生のつまずき
何にもないはずなのに
どうしてかしら
謎は深まるばかり
ぼくはさっぱり訳も分からず
突然のミステリーに
巻き込まれたようだ
「一旦落ち着こう、
ゆっくり考えるのだ。」
そう自分に言い聞かせてみたものの
見つからなかった
あるはずの段差は
やっぱりどこにもなかったのだ
透漆一文字平椀:江戸時代
05 うらっ返し
ねぇ、いつまでいるの?
まだ帰んないわけ?
別にいいけどさあー
白磁平皿:黒田泰蔵
06 淡く儚い夢の味
こんなこと
よくないよね、、
ううん、、
、、よく、なくないよ、、
7寸平皿 :掛江祐造
07 ダイバーシティ
ほんとはね
分けれっこないの
ぼくも、君も、あなただって
みんな分けたがるけどね
いろんなものが綯い交ぜになって
世界はいつだって可もなければ不可もない
ぼくにとっての違和感や不快感は
だれかにとっての快感かもしれないわけだから
寛容さをもってそこにある
ただそれだけのことなのかもしれない
願わくば、その思いだけを分かち合えたら
それくらいがちょうどいいのかもね
白磁大鉢 :黒田泰蔵 栗木坪杓子:大正時代
08 色のついた空気
気配というか
結構突然やってきた
息を吸い込んだら
あのスンとした感じは
もうとっくになくなっていて
生暖かい空気に塗れて
少し気怠い気分になっていた
まぁ何というか
もう少しゆっくりでもいいぜ
とも思うんだ
根来椀:江戸時代