LESSON
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乾燥と発酵

うま味の概念において、素材のうま味をより多く引き出す手段として「熟成」という考え方があります。素材そのものには元々うま味成分はそれぞれにある程度含まれているものですが、どの素材にどれくらいのうま味成分が含まれているかは、経験値かデータを取るしか方法がありません。またその含有量がどれくらい味覚に影響をするのかということも考慮しなければならず、これはいくつかの手段(調理工程)によって判明します。

ここでは全ての食材のデータをとることは出来ないので(また含有量のデータだけを集めたものを資料とするのも感覚的に取り込めないので)、3つの素材に絞って実験をしていきたいと思います。まずこの熟成の考え方はうま味の凝縮です。素材がもつうま味成分をより濃くするためにとる手段として乾燥と発酵があります。このどちらも素材を熟成させうま味を凝縮する手段としてはとても有効です。ここにそれぞれ乾燥させたもの、発酵させたものを用意しています。実際に食したり香ったりして素材の味を見ながら味の感じ方やうま味について見ていきましょう。

きのこのうま味成分グアニル酸は実は生の状態ではほとんど含まれない。グアニル酸はきのこの中にあるリボ核酸と酵素の働きによってグアニル酸に変化するのですが、生の状態では別々の場所にあるため変化しないが、加熱や乾燥によって水分が失われていく過程で細胞が破壊され、きのこの中にあるリボ核酸と酵素が直接触れグアニル酸が作り出される。

発酵とはいっても天然発酵から乳酸菌発酵、培養発酵といくつもの方法があるので一言には言い表せないが、大まかにいって発酵とは微生物による変性作用である。麹菌という微生物によってお米が分解され変化したのが麹であり、大豆にこの麹と塩を加えて作るのが味噌である。また醤油は大豆と小麦を混ぜわせて種麹を加え食塩水と寝かせながら作ります。多くの場合このように原料となる糖を微生物が分解することでアルコールや炭酸ガス、また有機酸などを作り出します。ここでは塩を用いた発酵実験をします。塩には水分活性を下げ食品の微生物の繁殖を抑え腐敗を防ぐ作用があります。そして対塩性の酵母である乳酸菌が増殖し熟成がかかります。謂わゆる乳酸発酵です。塩を用いた乳酸発酵は比較的安定しやすく雑菌の汚染を受けにくく保存性に優れた発酵が行えます。因みに発酵と腐敗は人間にとって有効であるか有害であるかの違いで自然界においては同じ現象を指します。