MOTIF

曼茶羅は、サンスクリット語で「円」や「全体」「集合」の意味を持ち、語源的には「本質を有するもの」「完成されたもの」といった意味も表します。そしてアーユルヴェーダの知識では一度の食事で「甘・塩・辛・酸・渋・苦」の六つの味(六味)を取り入れることが心身のバランスを保つためにも大切とされています。本作品では「円」をモチーフに曼茶羅からインスピレーションを得た六つの料理で構成されています。六つの料理それぞれに「六味」を割り当て、それらを変化させる「重・軽・油・乾・冷・熱」の六つの質を使って身体に取り込むことで、曼茶羅における「理と智」(六大)の関係を表し、サトヴィック(純粋で新鮮な食物)な食体験を通して自身の身体の内側に曼茶羅を描いていくインスタレーションです。
円 ◯ en
INSPIRATION
曼荼羅
曼茶羅とは、言葉だけでは言い表せないものごとの真理や教えを描いたものです。言葉に顕して説いた「顕教(けんぎょう)」に対して、言葉以外の表現で教えを説いていったのが密教です。
古代インドで釈迦が開いた仏教の中から生まれた大乗仏教の宗派として広まり、インドから中国を経て空海が真言密教として発展させてきました。
「東寺」は空海が中国から持ち帰った密教を広めるために嵯峨天皇から任されたことで誕生した日本で最初の密教寺院です。
密教寺院では本尊の東側に「胎蔵界曼茶羅」西側に「金剛界曼茶羅」を祀ります。この二つの曼茶羅を合わせて「両界曼荼羅」と呼びます。
仏教の世界では宇宙を構成している要素を「地・水・火・風・空」の五つ(五大)で出来ていると考え、密教ではこれに「識大」を加えて「六大」と呼んでいます。
「胎蔵界曼茶羅」は五大(物質世界)の理(ことわり)を説いたもので理曼茶羅とも言い、「金剛界曼茶羅」は識大を説いたもので五大を認識しようとする心の働き(智 さとり)から生まれる曼茶羅であるため智曼茶羅ともいいます。
「五大」と「識大」は対照的であると同時に本来はひとつのものである(金胎理智不二)ということを表したのが「両界曼荼羅」です。

曼荼羅

AYURVEDA
アーユルヴェーダとはサンスクリット語で「アーユス(生命)」と「ヴェーダ(科学)」を組み合わせた「生命科学」という意味で、紀元前1200年頃の古代インドで始まったとされる世界最古のインド伝統医学で、ユナニ医学・中国医学と共に世界三大伝統医学のひとつであり、相互に影響して発展してきた東洋医学のひとつです。
アーユルヴェーダは、心・体・行動・環境などのあらゆる要素が調和のとれた状態であることが健康にとって重要であるとしている「全体観」の医学であり、病いになってから治すのではなく、どういったことが心身に影響し、健康な心と体をかたどっていくのかを考え学ぶ知識であり哲学でもあります。
またアーユルヴェーダの世界においても「地・水・火・風・空」の五大の考えがあり、自然界や私たちの身体もまたこれらの要素で成り立っているとされています。このように思想哲学として仏教とも深い関係があります。

アーユルヴェーダ

VENUE
東寺のほど近くにある京町家「る」で行うインスタレーション。展示は季節に応じて、供する内容は変わります。各会定員は2名様です。
会 期:2021年 1月 - 2月 - 3月 ( 各月5日間 )
場 所:「る」京都市南区九条町411−2
時 間:昼の部 11:30 宵の部 18:00(2部制)
定 員:各会2名様
料 金:¥15,000(税別)
京町家 る

ACCESS
「る」
会場へは公共交通機関のご利用をお勧めしています。
JR京都駅から徒歩でお越しになる際は八条口からお越しください。
住所:京都市南区九条町411−2
JR京都駅より徒歩12分。
京都市営バス 東寺東門前より徒歩2分。
京都市営バス 八条大宮より徒歩2分。